知床工房酒辞典

「酒はいつも時代もそばにいた」 

銘酒の四方山話

「酒はいつも時代もそばにいた」                                       「維新から近代へ、酒もまためぐり、社会の変化とともに酒の酔い方も変わっていった」幕末。 元禄の世は、江戸ばかりではなく地方の町民を繁栄させ、農村の中にも在郷商人と呼ばれるものを生み、庶民にゆとりを与えた。しかし、そのために庶民が富を蓄え、文武を身につけ、各地で指導者的な地位を築き上げて、やがては幕府の庇護から漏れた下級武士たちと結束し、倒幕という社会大改革にいたる底力となっていきました。維新を目前とする十年間のうちに、酒は二倍以上の値上がりをしました。このインフレによって傘張り浪人が続出し、毎日どこかで農民一揆が起こり「米よこせ」の叫び声とともに各地の蔵が襲われ、酒屋にもその波は押し寄せていきました。
他方、政治の貧困を痛感し倒幕維新を目指す若者たちは、連夜のように酒楼や料亭に集まり、志のために命をかけることを決して、酒に酔い、天下国家を論じたのであります。坂本竜馬が足げく出入りした旅館「寺田屋」も同じく「池田屋」もその舞台となっていたのであります。竜馬ら勤皇の志士を仇とする新撰組の人々も、やはりよく酒を飲み、酔っては気勢をあげ、国家の異変に立ち向かったたのでしょう。このように、酒はかつて神事に起用され、労働の活力となり、人々の心を結び、時には争いや怠情を呼び起こし、または緊迫した社会下の人々の心を和らげ、勇気を奮い立たせてきたのです。しかしながら、社会は酒と共にあり、社会の状況が、酒の酔い方、味わい方を変えていったのです。私は楽しい酒なら、大歓迎ですが。

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